酔いどれマスターの裏ページ-酒と食のでろでろな日々-


by bar_absinthe

コーヴァル蒸溜所セミナー

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コーバル(コーヴァル)蒸溜所のセミナーに参加してきました。

2008年にシカゴの中心部に誕生した蒸溜所。今回はディスティラリーマスターのロバート・バーネッカ氏が来日してセミナーを開催することになった。キビ(ミレット)を原料にしたウィスキーが話題になっている蒸溜所だったので何とかスケジュールを開けて参加してみました。

 蒸溜所の名前の由来のKOVALは、スイスドイツ語語ウーリ語でBlack Sheepのポジティブな表現。革新者や開拓者の意味。ちなみにBlack Sheepは昔、羊毛の取引で黒い毛は染色ができず買い叩かれたことから、どの社会,家庭,学校にも歓迎されない困り者つまり、厄介者という意味がある。

この蒸溜所名は、創りだすウィスキーも名前の通りかなり異端で全く新しいウィスキーのジャンルを開拓しつつある。

まずは原料が今まで余り使われていないミレット(キビ)やオーツ麦、小麦などを使用する。
糖化もモルト麦芽を使わず酵素糖化
蒸留器も単式と連続式のハイブリットスティル(ただし、一回しか蒸留できないのであくまでも単式蒸留器)
そして、クラフトの精神(曰く、高品質であること)

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さて、味の方のざっくりとした感想は、全体的に若く材料の味がクリアーに伝わる。
特に印象的なのはキビ原料のミレットで甘みが強く出ており、まろやか。
バーボンもコーン51%残りがキビ。
熟成感はまだ感じないが淡さと複雑さが見事に調和、かなり個性的。
ライは100%ライ麦のためか確かに大麦のニュアンスが無いこれは
フォーグレイン(オーツ麦、キビ、ライ、大麦)と比べるとよくわかりやすい。

蒸留器
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樽はバレルミル社製のミツロウを使った30ガロンの小ぶりな樽で熟成。
通常使われるパッキン(しれっとタブーに近い内容に触れる)
をミツロウで代用したスペシャル樽。この樽も新しい試みなので大変だったとか

また例のごとく色々と聞きづらいことも聞いてしまう私。
Q.アメリカでクラフトディスティラリーが増えた2008年に何が合ったのか?
2008年には日本でもイチロウズモルトが誕生したりしたので世界的に何かある年だったかもしれない。
クラフトディスティラリーが増えたのは2002~2003年にアメリカで大規模な税制改革や免許の緩和が起こったためでシカゴでは2008年に40社、2015年現在は100社にも増えた。

Q.新しい作り方として、麦芽を使わずに糖化したウィスキーは伝統的な作り手からの圧力はなかったのか?
(つまり、これはウィスキーではない)といったことは言われなかったのか?また、法律でバーボンの規定には引っかからなかったのか?
 スコッチ、アイリッシュ、バーボンなどの違いと同じで新しいジャンルなのでそういった事はなかった。
また法律での規格は材料の規定だけで(51%コーン)糖化の規定はなかったため問題なかった。

Q.蒸留の際にトップとテールは使わないと行っていたがどうするの?
 マッシュの中に入れてしまうところもあるけど、うちでは両方共完全に廃棄する。使うのは高品質なハートの部分だけ

Q.オープン当初一番大変だったのは
 クラフト市場はまだ確立していなくて、全てを自分たちで手探りして決めていかなければならなかったこと。

終わって思ったこと
 伝統は大切にしなければならないと思っているが、新しいことを始めることは基本的にはブラックシープなことである。
伝統を守りすぎると新しいことは異端に感じ、伝統的ではない、マナーがなってないと言われ、出る杭は打たれる。
リキュールを伝統的に飲んでいたらカクテル文化は花開かなかったわけだし、南部鉄器もカラフルになったした。ら抜き言葉もキラキラネームも現在日本語の変化として受け入れられつつある?
 全く新しいウィスキーに触れた事により、これからも自分が頑なにならないよう柔軟に知識を受け入れられているか?と自問するきっかけを得たなと
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by bar_absinthe | 2015-05-22 13:37 | 試飲会&サンプル